主婦でもわかる! IT社会を揺るがす大問題「Cisco社ネットワーク機器の18ヶ月問題」について

2017年2月17日金曜日

ニュース

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つい昨年のことなので、記憶にのこっている方も多いでしょう。
2016年3月30日、3月22日にANAにて搭乗受付ができずに大問題が発生しました。
原因はシンプルで、ANAの搭乗予約を管理する国内線システムが動かなくなったためです。
ここでもCiscoのネットワーク機器(Catalyst4948E)という装置が使われていました。
たった1つのネットワーク機器の故障で、飛行機が飛ばなくなった例となります。
さて、このニュースで重要なのは、IT社会においてネットワークというのは生命線だということです。

インターネットや企業の各種システムにおいて、ネットワークで問題が発生すると全滅します。大げさでなく、震災の時と同様に社会インフラすべてが止まります

なぜならITサービスというのは、「コンピューターが単独で動くものでなく、誰かに使ってもらうための仕組みだからです。

その「誰か」というのは、携帯であったり、パソコンであったり、もしかしたら隣のコンピュータ経由かもしれません。
これらはすべて「ネットワーク」で接続されています。
そのため、ネットワークで問題が発生するとサービスを提供しているコンピュータにつながらなくなるので、使えなくなり全滅するというわけです。

今回話題になっている「Ciscoネットワーク機器のATOM C2000 突然死」はANAの時と似てますが、さらに大きな問題となるリスクがあります。




IT社会の根幹を揺るがす大問題の理由

ニュースで話題の「ATOM C2000」とは

SoC(System-on-a-Chip)の略となります。
こちら、CPUも含めて制御に必要な複数の部品(システム)が1つの半導体チップにまとめられている半導体チップとなります。
簡単にいうと、「コンピューター装置の心臓部」です。

ATOM C2000 の突然死とは

この問題は18ヶ月きっかり経過したら装置が停止するわけではなく、故障率が上がるという問題のようです。
18ヶ月以上経過した装置において、「ある日、部品に問題が発生して、いきなり動かなくなる」というものです。

さきほど、ご説明したコンピュータ装置の心臓部が動かなくなるということは、具体的にいうとこの半導体チップが使われているネットワーク装置が停止します。
よって、「電源ケーブルをコンセントに挿してるけど動かなくなったよー」となります。

社会に与える重要な影響とは

世の中、絶対に故障しないというものはありません。

ITシステムというのは社会影響も考慮して、1つの装置の故障でシステム停止とならないように一般的に2重化を行ってます。


ですがネットワーク機器においては、完全な2重化というのがコスト観点から難しいです。
(完全に2重化しようとすると、数倍以上のコストがかかります。)

そのため、以下のような代替え策がとられています。
・1台の装置の故障なら、システムが止まらないようなネットワークとする。
・壊れにくい高価なネットワーク機器を使う。

実は、家電量販店で売られているようなバッファローなどのネットワーク機器でも、社会システムで使われているのと同じネットワークを構築することは可能です。
ですが、頻繁に故障する装置でシステムを作ると、2台同時に故障するリスクが高まりサービスが止まってしまうので使われていません。

その高価なネットワーク機器が、頻繁に故障したらどうなりますか?
家電量販店で販売されている機器の例と同じよう、ITシステムが使えなくなります。

つまり、「ANAで発生した問題と同じようなことが、世の中のいたるところで発生」となります。

なぜ、「Cisco社のネットワーク機器が社会問題」となっているか?

Atom C2000チップを採用している他のメーカーには、Asrock、Aaeon、HP、Infortrend、Lanner、NEC、Newisys、Netgate、Netgear、Quanta、Supermicro、ZNYX Networksなどがあげられます。

この中でも、Cisco社は世界トップシェアとなります。
そして、特にCisco社でも本チップを採用している Nexus 9000やASA5500等のようなネットワーク装置は以下のようにいろいろなところで使われています。
・世界中のほとんどの企業は、Cisco社のネットワーク機器がシステムに使われています。
・国や政府機関においても、Cisco社のネットワーク機器が入ってます。
・クラウドサービスやインターネットにおいても、Cisco社のネットワーク機器が入ってます。

つまり、
いま世の中にあるITシステムが、明日にでも使えなくなるリスクを抱えている」という状況です。





さいごに

現在、Cisco社では交換プログラムを発表しています。
つまり、ソフトウェアのバグでないので、修正プログラムでは解決できないということなのでしょう。

とはいえ、Cisco社の当初の発表内容が、原因となった部品の提供者や部品名を公表してませんでした。
発表内容については、契約のしがらみもあるとは思いますが、マーケティング的な観点もあったとは思います。

なにせ、「この問題はCiscoだけの話でないよ。この部品は他の会社でも使っているよ、言えないけど。」という、なんともいえない少し無責任な回答をしているので。


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